「くせっ毛なんだな。」

何かが動く物音で目が覚めた、が、飛び込んできたのは妙に優しげな女の声色。声の主はライトニングしかありえないとわかってもなかなか理解が追いつかない。それは寝起きのせいか、それとも彼女の普段の性格のせいか。普段の性格なんと言ってはまた何やら怖い目でにらまれそうなので寝起きのせいにしておくが、それにしても、とサッズは思う。
自分とヴァニラが彼女等二人と離れてから何があったかは知るよしもないが、何故だかライトニングとホープはすごく仲がいい。仲がいいどころかホープには傍目にもわかるほどのライトニングへの好意があって相応の歳をとってしまった自分にとっては恥ずかしいくらいだ。
そんな二人の会話に割って入る気にもならず寝たフリを決め込むことにした。

小さな声で穏やかに柔らかい会話を続けるライトニングとホープには昼間の仲間全員のときとは違う空気が流れていて、どうにもこちらが照れてしまう。
気を張っているからか二人の会話が続く時間がとても長いように思えて、ライトニングはともかくホープの体力が気になった。今起きたことを装って寝ることをすすめようかと思ったが、ちょうどそのときライトニングがホープに寝ることを促した。ほっと安堵の息を吐くが、なにやらごそごそ音がする。聞かないべきだと思ったがやはり興味が勝ってしまった。

「あの・・・、隣で寝ても・・・?」

恥ずかしげな声には好意の色が濃い。あちゃあ・・・と瞳をきつく閉じ、ライトニングの冷たい言葉を待ったが、予想外に優しい声がそれを許した。

「いいぞ、おやすみ、ホープ」
「おやすみなさい、ライトさん、」

親子とも兄弟とも違った響きを持つ親密な挨拶に遂に耐え切れずこっちが赤面した。

そしてサッズは脳内でつぶやいた。

ドッジ・・・、父ちゃん、きゅん死しそうだ・・・、


がんばれよ父ちゃん!

どこかで声がした。





こっちが恥ずかしいっての。