喜劇、もとい悲劇は何も変わらぬ穏やかな午後から始まった。 スノウは鼻歌を歌いながら周囲の散策を楽しんでいた。今日は自分の役目である食料調達を果たそうと考え辺りを見回したところでその思考は停止することになる。 「義姉さん・・・・・?」
誰もが唖然とし尋ねられなかったことをやっとファングが尋ねた。サッズは夢だ夢だと繰り返し寝ようとしているし、スノウといえばセラが残した涙のしずくを握り締め何やらおかしな言語を発し現実逃避をしているし、ホープは呆然とし、まるで起き上がりこぼしのようにフラフラしている。 「さあ、わからない。遭遇した敵に呪文を浴びせられてこうなった。」 スノウが発見し大慌てで連れ帰ってきたライトニングは、幼い頃の姿になっていた。 幼い頃と言ってもせいぜい13、4歳だろう。不機嫌そうに腕を組み、ふん、と鼻を鳴らすが、普段のような貫禄はどこにもない。少し高い岩に座って、普段だったらしっかりと地面につくであろう足は宙でぷらんと揺れている。 「かわいーっ!ちっちゃいーい!ぷにぷにしてるー!」 誰もが思ったが口にしなかった地雷とも言える言葉を綺麗に踏み尽くしてヴァニラがライトニングを抱きしめた。何やら黄色い声を上げて頬擦りしているが、ライトニングはと言えばむっつり口をつぐんだまま細い眉をぎゅっと寄せている。 これは、明らかにマズイ展開である。 どうにかしろ・・・!サッズとスノウの無言の圧力がホープにかかった。 僕ですか!?と必死に見返すと、お前以外に誰がいる、と更に圧力をかけられた。結局、ホープは泣きそうになりながらやっと口を開く。
「で、でも、このままじゃ大変ですよね。襲われたら大変ですし・・・」 にやにやと成り行きを見守りながらもそう同意してくれたファングが救世主のように思えて、ホープはその勢いに乗り、力強く言い放つ。
「そうですよね!!だから、解決策を探しましょう!!!ね!ヴァニラさんっ!!?」 よくわからないがすごい剣幕で、いいから同意をしろ、と言わんばかりに迫ってくるホープにヴァニラは何がなんだかわからないままとりあえず頷く。そのことを幸いにホープは息継ぎする暇も考える暇も与えず矢継ぎ早にヴァニラに迫った。
「だから、僕はライトさんとその敵が出た場所に解決策を探しにいきますから!!皆さんも別の方法で解決策を探してください!いいですね!?」
それを見ていたスノウとサッズは頷くことしか出来ない空気を巧みに作り出したホープに心底感心した。なるほど、ただの育ちのいいお坊ちゃまのような節があったが実はゴリ押し、もとい説得に関してはホープのほうがなかなか優れているらしい。
「それにしても、幼くさせて困らせようって魂胆なんでしょうけど・・・」 ホープはなんとかその場を取りもとうとし、随分迷惑な話ですよね、と話しかけるが帰ってくるのは沈黙のみである。これは予想以上に不機嫌なのか、それとも怒っているのか、そう困り果てた時、やっとライトニングの声が返ってきた。 「手、」 ふりかえらなくてもわかる仏頂面な声である。一瞬言われた意味がわからず、え?、と問い返すともう一度同じ声で同じことを言われた。二度目にしてやっとライトニングが繋がれたままの手のことを言っていると気づく。 「え、あ、すみません・・・」
反射的に振り返り、手を離してしまったが、はた、とホープは眉を顰める。そもそもライトニングは自分と手をつなぐことなど気にするような人物ではないはずだ。 「・・・ライトさん?どうかしたんですか?」 彼女のそんな顔を見るのは初めてなので戸惑ったが、なにかあったのかと思い尋ねると、普段だったらありえない拗ねたような表情で見上げられた。
「手が・・・、お前の方が、大きい・・・」 思わず、自分の手をみつめ握ったり広げたりした後、ぎゅっと握り締められたライトニングの手を見ると確かに自分の手の方が大きいような気がする。しかし、この人はそんなことを気にしていたのか・・・、と思うと、突然顔が熱くなった。
「え、あ、そ、そうですね・・・まあ、僕も一応男ですし・・・!」 顔を薄赤く染めて不満そうに俯くライトニングにつられるようにホープの頬も赤くなっていく。
|
恥ずかしいんですけど・・・!
結局エスナをかけたら戻りました。(だれか最初に試してくださいよ!)
リクエストありがとうございました!
リク内容は、「ライトがちっちゃくなっちゃう話」です。
ちっちゃくなっちゃうといっても年齢的にということでしたので・・・
身体だけなのか、精神もなのか迷いましたが身体だけにさせていただきました。
精神ものほうが読みたかったのに!と思われたらまたコメント頂ければ幸いです。
筆が拙く、あまりご希望に沿えてなかったら申し訳ありません・・・
ちっさくなったライトさんが急にホープのこと意識しちゃったら可愛いな、
っていう話でした。
リクエストありがとうございました!