あまりの頭痛で目の前に火花が散るようだった。

ヴァニラから酒を飲まされた後のことは何も覚えていなかった。気付いたらベッドに寝かされていた。あわてて起き上がると頭痛で頭が割れそうだった。

「っー・・・」

あまりにも情けないとはいえ、ヴァニラを恨まずにはいられなかった。大体自分は飲む気も、願望もなかったというのに・・・

とりあえず部屋のそとに出れば薬か何かがあるだろう。

頭痛で上手く考えることさえ出来ない頭で必死にそう自分を励ますと、だるく重い身体をベッドから引きずり出す。ベッドに座り、やっとのことで靴を履いた時小さいノックの音と共にライトニングが入ってきた。

「大丈夫か?」
「え・・・あ、はい・・・」

軽く頭を抑えながらなんとかそう返事をしたホープを一瞥した後、ライトニングは手に持っていた小さな錠剤と水の入ったグラスをホープの手に押し付け、彼の傍らに腰を下ろした。

「ありがとうございます・・・」

情けなさに泣きそうになりながらホープはライトニングが手渡してくれた薬を飲み込んだ。
ライトニングのことであるからすぐに立ち去るのであろうと思ったのに一向に立ち去ろうとしなので、どうかしたのか、と声をかけようかと思った瞬間、ライトニングはくるりとホープの方を向き直った。

「ホープ、昨晩はすまない。忘れてくれ。」
「え・・・?あ、えーと・・・」

真剣な形相でそう迫られ、ライトニングが泣き上戸であることだろうか。と彼は思考を走らせた。
彼が二日酔いの頭で必死に思案していることもお構いなく、ライトニングは口早に続ける。

「私も忘れる。だから、酒の勢いとかはナシだ。」
「は・・・?え・・・?ライトさん?」
「そういうことはちゃんと考えた方がいい。私も昨晩は酔っていてつい・・・、すまなかった。」
「あの・・・僕、覚えてないです。」

「は?」

次々と捲くし立てるライトニングには申し訳ないような気もしたが、ホープは正直なところを告白した。

「だから、覚えてないんです。お酒を飲んだ後のこと。」

するとライトニングはなんとも拍子抜けしたような呆然としたような複雑な面持ちになって、そうか、などと適当な言葉をこぼすと取り繕うようにさっと、立ち上がった。

「・・・それならいい、ゆっくり休め。」
「え、・・あ、はい・・・・」

ありがとうございます、そう返す間もなく、ライトニングは足早に部屋を出て行った。





僕、何かしましたか・・・?