「セラ、守ると誓っていた。」

そう告げるあなたの目は僕を写してはいなかった。
いつだってそうだ。僕を見ながらあなたは違う人を見ていた。

「守れなかった、」

知っている。僕は傍で見ていた。
あなたのその美しい顔が悲痛に歪み、その目の前でよく似た妹が美しくも冷たいクリスタルになるその瞬間を。

「誰よりも、大切に思っていた。」

知っている。そんなことは知っているんだ。
あなたが誰よりも彼女を思い、そのために何もかもを犠牲にして走り続けてきたこと。そして今もなお傷つきながら走り続けていることを。
僕は正直あなたをそこまで駆り立てる彼女が憎らしい。あなたから全てを奪っておいて自分は愛する人を見つけてあなたの元から去っていく。

それでもあなたはそんな彼女を愛している。(そう、それはきっと僕を思うより深く、強く)

「いつかまた、会える。それだけを信じている。」

僕の希望はあなただというのに、僕はあなたの希望になりえない。なったとしても継ぎ接ぎの、あなたの希望への橋渡し。そんなのとんだ絶望だ。
僕のうちに渦巻く苦しみをあなたは知らずに前へと進む。嗚呼、あなたはなんて残酷な。

「ホープ、お前のことは、私がちゃんと守る。」

それでも僕は笑顔で答える。胸の闇も焼け付く恋心も全く見せずに。





気付かれないままごと