全てが終わってから五年。 眠りについていたはずの、懐かしい、愛しい仲間からの連絡が、スノウの元へ入った。
スノウは予想していた通りの反応に思わず電話の受話器を耳から離した。
「ああ、だから、お前にも知らせておこうと思って。」 スノウはソファに座ってきゃいきゃいと騒いでいる女四人を軽く眺める。五年前に決めたことだった。ライトニングはセラとの結婚を許したが、大切な仲間が目覚めるまで結婚はしない。そう話すとセラもライトニングも柔らかく笑って頷いてくれた。もっと長く待つことになるかと思っていたが、予想よりも早く彼女たちは目覚め、五年以上もの月日を経て、やっと自分たちは結婚する。
『そっか、いつ?』 電話口で笑っていたホープの声はかつてよりも低く、実際会ったわけではないが彼曰く背も伸びたらしい。スノウ自身はあまり気付いていなかったが、サッズやファング、ヴァニラ、そしてセラまでもホープとライトニングの仲についてはなんとなく察しているようで、スノウも次第にホープを弟分として心配するような気持ちが生まれていた。受話器を置いて、ソファのところまで戻るとせっかく代表して連絡したにも関わらず、随分と手荒く迎えられた。
「やっと連絡終わったのかよ。」 お前等なぁ・・・と思いはするが口にはしなかった。今はただ仲間の帰還と愛する人と結婚できるということを喜んでいたかった。 「それで?みんな何て言ってた?」 その場を取り持つかのように微笑んでそう訪ねてきた愛しい人を抱きしめてスノウは笑う。
「すぐにでも会いに来たいけど結婚式まで待ってくれるってさ。」 酷く長い間戦っていた、戦って苦しんで、諦めそうになったこともあった。それでもここまでこれた。 「本当によかった。」 もうすぐ念願の夢が叶う。
ライトニングはソファに身を埋め、テレビの画面を見つめたままその言葉を聞いた。テレビにはもはやかつての混乱の色すらなく、平穏なニュースばかりを流している。しかし、ライトニングの耳にはそれらの情報は全く入っていっていなかった。五年、二人の仲間の目覚めを待ち続けた。そして、その約五年、連絡はとってもホープとはほとんど会っていなかった。彼は今は父と二人で暮らし、学校にも通い、今は更にその進学先の学校に通っているらしい。
「それで、いつにすんだ?」 会話が勝手に進んでいくのをいいことにライトニングは完全に一人の世界に入っていた。二週間後に結婚式を開くことになればホープもここまで来るだろう。自分から言い出さずとも会える貴重な機会だ。特になにか話すことがあるわけでもないがそう考えると表情が緩んだ。 「飲み物でも持ってくる。」 そう言って立ち上がり、緩んだ顔を隠すため台所へ向かう。口元を軽く押さえながらグラスを出して飲み物を注いでいると背後から肩を叩かれた。 「姉さん、よかったね。」 妹はそう笑ってライトニングの手元のグラスを持ち上げる。一人じゃ持てないでしょ、と手伝いに駆けつけたと言うことを装っているが実際は姉をからかいにやってきたのだろう。
「よかったのはお前だろう。」 大げさに呆れて見せるとくすくす笑いながらセラがライトニングの脇腹をちょいちょいと突っついた。
「嬉しいくせに、ホープ君と会えるの。」
きゃっきゃと笑ってリビングに駆け込んでいく妹をライトニングは苦笑しながら見送る。全ての終焉から五年。待ちわびた何のわだかまりもない平和が、ここにあった。 自分の気持ちだけに正直になれる時が近づいているのかもしれない。 ライトニングもまた、飲みものに満たされたグラスを手にリビングへ向かった。
「スノウとセラさんの結婚式、父さんも来てくれないかって、スノウが。」
父は自分が行ってもいいのか、などと笑っていたが、その声色には喜びが溢れていた。 このときをずっと待ちわびていた。 伝えたい。 「ライトさん、」 長年の恋心を伝えられる日は、近い。
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リクエストが多かったED後のお話第一弾です。
一応リク内容は、「ED後の話」と「ホープが大人になったくらいの話」です。
これからスノウとセラの結婚式とかいろいろ続けたいなぁ、と思ってます。
いずれはホープからライトさんにプロポーズ、結婚、みたいなところまで・・・
できたら・・・(こら
ホープが大人になったくらいの話、というのも含めていいのか迷いましたが含めてしまいます。
ホープ君の求婚奮闘物語はまだまだ続く予定ですので、
ホープ君も管理人も見守ってやってください。
ということでリクエストありがとうございました!